登場人物
人物 | 特徴 |
---|---|
原田 孝志(52) | 土地所有者。家業の破綻により借金を抱え、土地処分を急ぐ。 |
木下 美優(37) | 元教員。誠実で堅実な性格。不動産投資で独立を目指す。 |
坂井 隆二(48) | 原田と旧知の不動産業者。利益最優先で法的リスクを軽視する傾向あり。 |
片岡 和真(26) | 坂井の甥。社会経験の浅い青年。司法書士の受験生。坂井に頼られ、深く考えず登記に応じる。 |
20XX年5月。木下美優は週末に法務局で取得した謄本を眺めていた。
小ぢんまりとした古家つき土地。駅から徒歩12分。築35年、接道はやや狭いが、再建築も可能。再開発の噂もあり、将来性はあった。
木下(心の声):
「ここなら、若い家族向けの賃貸戸建てにできそう。初めての土地物件だし、慎重にいこう」
彼女は不動産会社に連絡し、売主・原田との面談へと進んだ。
原田との話し合いはスムーズに進んだ。
原田:「この土地、父の代からあるんですよ。…今は事情があって、少しでも現金が欲しいんです」
木下:「わかりました。売買代金は1,480万円で、手付金を支払います。登記は司法書士の先生と手続きしますので、書類をご準備ください」
契約は成立し、木下は翌週の金曜に登記申請を行うと予定していた。ところが——
司法書士からの電話:「すみません、売主の印鑑証明がまだ取れておらず…登記申請を来週火曜にずらさせてください」
木下はやや不安を覚えつつ、了承した。
原田は深夜、溜息をつきながら借金の明細を睨んでいた。
リボ残高120万、事業失敗による保証債務、滞納税金。
原田(心の声):
「木下さんには悪いが…今すぐに全額現金を出すやつに譲ったほうが……」
翌日、原田は坂井に電話する。
原田:「あの土地、売る予定があるんだが…まだ登記はしてなくてな」
坂井:「ふん、まだ空いてるならチャンスだな。じゃあ俺の名義で即登記しよう」
2日後、坂井は現金を用意し、原田と売買契約を交わす。司法書士にも急ぎ手続きを依頼し、3日以内に坂井名義での登記が完了した。
それから1週間後。
坂井:「和真、ちょっと頼みがある。あの土地、お前の名義で持っておいてくれ。税対策と相続の件もあるから」
片岡:「え、僕が?でも、ちゃんと契約書とかあるんですか?」
坂井:「あるさ。司法書士にも任せてあるから手続きは安心だ」
登記申請は正式に行われ、土地の名義は「片岡和真」となった。
このとき、片岡は木下の存在や、原田が以前にも譲渡契約を結んでいたことを全く知らなかった。ただただ、叔父の依頼に応じたつもりだった。
予定していた登記申請日の朝、木下は司法書士とともに法務局へ。
だが、届いた登記事項証明書にはこう書かれていた:
所有者:片岡 和真(登記日:◯月◯日)
木下:「どういうこと…?私より前に登記されてる…?」
すぐに原田に連絡を試みたが、電話が繋がらない。。。
🎙️『こぱおの法律研究室』〜トークライブ〜
🧪こぱお博士:
「いや〜今回のテーマ、『不動産の二重譲渡』っていうらしいけど、ワイ的には“カレー二日分作ったのに、冷蔵庫が一段しかなかった”みたいな話やね~」
🐾もふん補佐官:
「……例え下手すぎもふっ。まず鍋の数と登記簿は関係ないもふよ」
🧪こぱお博士:
「つまりこう!先に契約した木下さんと、あとで契約した坂井おじさん、そして最後に片岡くんが出てきて——まさに!
『あ、名義が渡り歩いちゃったゲーム』発動〜!」
🐾もふん補佐官:
「人生そんな“ババ抜き”じゃないもふ…。
法的には“登記”を取った者が原則勝つけど、“背信的悪意者”ならアウトになるもふよ」
🧪こぱお博士:
「そう!つまり“悪いこと知ってて登記取ったらペケ!”って話だよね!
でもさ、片岡くんが“叔父さんの頼みで言われるがまま登記しちゃいました〜”だったら、これって無罪モフ〜!」
🐾もふん補佐官(小声):
「語尾まざってるもふ。しかも“無罪”じゃなくて“177条の第三者に該当するかどうか”もふ」
🧪こぱお博士(急に真顔):
「……てなわけで、登記は“スピード”だけじゃなくて“内容”と“意思”が問われる時代なんですわ!」
🐾もふん補佐官:
「結局言いたいことは“早い者勝ちじゃない”ってこともふ。
知ってて横取りしたらアウト。でも、知らずにちゃんと登記受けたならセーフ。
そしてボケが迷子になってもツッコミは帰ってこない…もふ」
🧪こぱお博士:
「おやっ、それって、、さりげなくワイにダメ出ししてる!?!?(笑)」
論証
本事例では、木下の所有権に基づく土地明渡請求に対して、片岡は登記があることを理由にこれを拒むことが考えられる。
これに対して、木下は前主の坂井が背信的悪意者であり、片岡はその地位を承継しているから、片岡も背信的悪意者であって、177条の『第三者』には当たらない。あるいは背信的悪意者という無権利者からの譲受人にすぎないと主張することが考えられる。
しかし、背信的悪意者は信義則(1条2項)上権利を主張できないだけであって、全くの無権利者ではなく、また、信義則違反は個別に判断すべきである。
したがって、背信的悪意者からの転得者である片岡は自身が背信的悪意者であると評価されない限り、所有権を承継取得し得る。
結論
本事例の片岡は背信的悪意者ではなく、登記を有しているから、木下の主張は認められない。
つまり、片岡の勝ち。
こぱお博士の法的アドバイス
🧾 Step①:「契約書と証拠を確保せよ!」
まずは、「自分が先に契約していたんだよ〜!」という証明が命。これらをきっちり手元に用意しよう:
- 売買契約書(署名・押印あり)
- 手付金や内金の振込記録
- メールやLINEのやり取り(できれば日付入り)
- 契約交渉のメモ、録音、立会人がいればなおヨシ!
📜 Step②:「登記を得た相手の“態度”を分析せよ!」
相手が「先に契約してたのを知ってたのか?」「信義に反して登記を取ったのか?」が超大事!
- 相手が“知っていた+信義に反した”なら → 背信的悪意者!あなたが勝てる可能性アリ
- 相手が“全く知らず、正式な契約と登記をしていた”なら → 民法177条上の「第三者」で保護されるかも…
🧪こぱお:「知らなかった相手を“悪者”にしすぎると、裁判官の顔がピクリとこわばるから気をつけてっ!」
⚖️ Step③:「弁護士に早めに相談せよ!」
特に以下のときは、プロに頼るのが正解!
- 相手が“既に登記済み”で話が通じない
- “親族名義”や“第三者名義”などで複雑化している
- 登記変更を任意で求めたが拒絶された
「ほむ…ここらで脳にカフェイン補給が必要だな」
👇こぱお博士の目覚めの一杯、受付中。
コーヒー代 300円🐾もふん補佐官の見解
✅もふ1:登記の“かたち”と“こころ”は別もふ
たしかに片岡くんは正式に登記を受けた名義人。でも、それだけじゃ足りないもふ。
問題は——その登記が“信義に反しない”ものだったかどうか、もふ。
📘「民法177条で守られる“第三者”って、ただの通りすがりじゃなくて、登記を“まっとうに”受け取った人」
🐾だから、“知らなかったかどうか”と“信義に反してないか”が超だいじもふ!
✅もふ2:“名義だけ貸しただけ”じゃないもふか?
片岡くんが、本当に
- 契約内容を理解して
- 代金を払い
- 自分で土地を保有するつもりだった
なら、ちゃんとした登記取得だと思うもふ。
でももし、
- 場所も見たことない
- 「全部おじさんに任せてある」としか言われてない
なら、それは形式的な名義人の可能性があるもふ。
✅もふ3:片岡くんは“知らなかった”…でも、それだけで守られる?
💡「えっ?知らなかったなら背信的悪意者じゃないのでは?」
🐾←と思いきや、最近の判例では、“本人は知らなくても、事情を聞いてれば当然気づくべきだった”という判断もあるもふ!
つまり、「善意・無過失」であることが必要条件。
「よくわかんないけど登記しといた」は……ギリギリ危ないもふ💦
🐾もふんのまとめ:
判定項目 | セーフ🟢 or アウト🔴 |
---|---|
本人が先行契約の存在を知らなかった | 🟢(善意) |
信義に反する意図で登記を取得した | 🔴(悪意) |
おじさんの言いなりで名義を貸しただけ | 🔴(形式だけ) |
自分の意思で契約・登記し、代金も支払った | 🟢(実質的所有者) |
ちゃんと司法書士の説明を受けて納得して登記した | 🟢(正規な取得) |
🐾もふんのひとこと:
「“登記”は魔法の鍵。でも、開けたドアの先に責任もついてくるもふよ」
もふん…今日もいい発見だったもふ…」
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お楽しみに!
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