「【判例】夫に無断で土地を売却した妻の末路|民法177条の落とし穴」

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結婚22年目。
立花慶と環はかつて新婚旅行で見た湖の風景に惹かれ、郊外の丘に小さな土地を購入した。名義は夫婦それぞれ2分の1。

だが数年前から、義母の介護や子どもの進学、仕事の多忙…さまざまな出来事が夫婦の時間を少しずつ削っていった。

「この土地、私たちの夢じゃなかったの…?」
—環の心に渦巻くのは、孤独と焦燥。

そんなある日、彼女はかつてパート勤めしていた「榊原不動産」の前で足を止めた。

「手放したほうが、きっと…お互いのためだわ。」

環は仲介担当・榊原にこう語る。

「夫も了承していて…すでに話は通っています。」

そう言って提出した委任状と登記識別情報。
だが、その署名は慶本人のものではなかった

元事務職としての経験が仇となったのか。環は偽造に手を染め、名義人を“代表代理人”として装い、売買契約書に「代理人・立花環」として記名押印。

司法書士は形式的な書類審査のみで登記申請を行い、
—登記は完了してしまう。

その約2か月後、新たな買主・藤堂修二が現地視察に訪れる。
彼は都内からの移住を考え、自然に囲まれたこの地で「小さなカフェ&宿」を開く夢を描いていた。

それからしばらく経ったある朝。
工事中の現場に、ひとりの男が現れる。

「…工事、止めてください。ここ、俺の土地なんですけど。」

ヘルメット姿の現場責任者が困惑するなか、藤堂も駆けつける。
話を聞いた慶の顔は青ざめていく。

「妻が売った?…そんな話、俺は一言も聞いてない。」

藤堂:「でも、登記上は私の所有です。契約書も司法書士を通して…」
慶:「俺は署名も捺印もしてない。それ、無効だ!」

双方の怒声が響く現場。
やがて、話は法廷へ

藤堂は、立花環が提出した「委任状」「登記識別情報」を正当なものとして信頼し、契約を締結したと主張。
一方の慶は「そもそも俺は何も知らされていない。委任していない。だからこの契約は無権代理無効だ!」と真っ向から対立。

そして明かされる――
環が、夫名義の印鑑登録証明を無断で市役所から取得していた事実。
さらに、契約書の署名も筆跡鑑定の結果、本人ではない可能性が高いとされた。

🎙️『こぱおの法律研究室』~トークライブ~

🧪こぱお博士(メガネがずれてる):
「さぁ、きょうのテーマは…ずばり!
『妻が夫に内緒で土地を売るのは、日常のおつかいに当たるのか!?』じゃ!」

🐾もふん補佐官(キレ気味):
「おつかい感覚で土地売る人いませんもふ!!」

🧪こぱお博士(うなずきながら):「ふむ…つまり、米とタマゴを買うのと、土地の売却は同じカテゴリに属する可能性が…」

🐾もふん補佐官:「属しません!スーパーじゃないんですから!もふっ」

🧪こぱお博士:「ではこうしよう。
“妻が勝手に売却した土地が、実は隕石の落下地点だった”という特異な事例で考えてみよう」

🐾もふん補佐官:「さらにややこしくしないでください!!リアル案件に戻ってもふ!」

(ここで真面目タイム)こぱおの法律ひとくちメモ

📌民法761条では「日常の家事に関する法律行為」には、夫婦それぞれが連帯責任を負う。
ただし!
💥不動産の売買のような大規模な契約は、「日常家事」とは認められません(判例・通説ともに否定的)。
つまり…妻が勝手に家の土地を売っちゃったら、それはもう“代理権なし”=無権代理になる!

🧪こぱお博士:「では、仮に日常家事の定義を“人生の全部”と広げたらどうかね?」

🐾もふん補佐官:「それなら私だって“お昼寝”が法律行為になっちゃうもふ!!」

🧪こぱお博士(突然まじめ):
「よって今回のケース、委任状を偽造して売却した場合は——
原則として、契約は無効。買主が信頼していたとしても、“表見代理”も成立しない可能性が高いのだ。」

🐾もふん補佐官(しみじみ):
「結局、夫婦でも“勝手に売るな”が鉄則ってことでもふね…信頼と登記は別モノってこと、覚えておきます…」

論証①

夫婦相互間に法定代理権を認める明文はないが、761条は日常家事債務の処理の便宜の観点から、夫婦相互間に日常の家事に関する代理権を与えたものと解する。

そして、『日常の家事』とは、夫婦が共同生活を営む上で、通常必要となる法律行為をいい、その範囲に含まれるか否かは共同生活の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断するのではなく、客観的に、その法律行為の種類・性質等をも十分に考慮して判断するべきである。

本件では、環がした行為は、夫婦相互の法定代理権を超えた無権代理であり、慶の追認がない限り、無効である。

もっとも、761条の法定代理権を基本代理権として、110条の表見代理が成立しないか。。。

こぱおの法律ひとくちメモ(民法110条)

代理人が権限外の行為をした場合でも、
第三者が「代理権がある」と信じる正当な理由があれば、
本人はその行為に責任を負う。

論証②

761条の法定代理権が110条の基本代理権にあたると解しては夫婦別産制762条1項)の趣旨を没却する。

そこで、761条の法定代理権は、基本代理権にあたらないと解する。

しかし、相手方保護の取引安全の見地から、その行為が夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信じるにつき正当な理由がある場合には、110条の趣旨を類推適用して、相手方は本人への効果帰属を主張できると解する。

本件では、藤堂にかかる信頼があったと認められる事情はないから、110条の趣旨を類推適用できない。

こぱおの法律ひとくちメモ(民法762条)

① 夫婦の一方が婚姻前から持っていた財産や、婚姻中に自分の名義で得た財産は、その人の特有財産とする。
② どちらのものかハッキリしない財産は、共有財産と推定する。

結論

よって、慶の追認がない限り、藤堂は慶に対して、環による代理行為の効果を主張できない。

つまり、慶の勝ち

こぱお博士の法的アドバイス

🧪ボケ入り法的助言①

夫婦喧嘩は犬も食わぬが、登記官は無視しないぞ!

土地を勝手に売った結果、“登記”が買主の名義に変わっても、
法律的に無権代理なら契約そのものが無効になる可能性があります。
つまり、バレなきゃいいという話ではありません!

🧪 ボケ入り法的助言②

日常家事代理と勘違いして、土地まで買い物リストに入れないこと!

夫婦間には“日常家事”としての代理権(民法761条)がありますが、
それが通用するのはスーパーで白菜を買うまでです。
土地は“夕飯のメニュー”に含まれていません。

🧪 ボケ入り法的助言③

偽造は“自作の地雷”だ。踏むのはたいてい自分

委任状や印鑑証明を勝手に作る・使う・偽るのは、
民法上の問題どころか**刑事罰(私文書偽造等)**にも繋がりかねません。
しかも、それで得た契約は基本的に…アウト!

🧪 ボケ入り法的助言④

夫婦共有名義は“チーム戦”。単独で動けばファウルですぞい。

不動産が共有名義であれば、原則として両名義人の同意が必要
これは「信頼関係」と「権利関係」を同時に守る仕組み。
勝手な売却は、パスなしでゴールを決めに行くようなもの。ルール違反です。

さて、わたくしの研究室は、コーヒーの香りと法的情熱でできております☕🔥
もし“今日のこぱお、ちょっとがんばってたな…”と思ったら、
1杯ぶんの応援をいただけると、とっても励みになりますです!」

コーヒー代 300円

🐾もふん補佐官の見解

🐾その1:「おうちの名義って、“なかよしの証”じゃなくて、“紙の約束”なのです〜」

「いっしょに買った土地でも、“勝手に売る”のは、お皿の片づけとはスケールが違うのですっ。
そりゃもう、お味噌汁にシロップ入れたくらいの違和感レベルっ!」

🐾その2:「日常家事って、あたたかいけど限界あるのですっ」

「たとえば“今日のごはんどうする?”ってのは、日常。
でも“この土地売るね♡”って言われたら、心の味噌汁吹き出すのです〜!!」

🐾その3:「登記簿に名前がなくても、ショックは心に記されるのです…」

「売買契約が完了しても、相手の心が置いてきぼりだと、
それは“家”じゃなくてただの“箱”になっちゃうのです〜。
法律は“知らなかった”って涙まで拾ってはくれないのです…ちょびぃ…」

🐾まとめもふ!

「もふん的には、“言わなくてもわかるでしょ”より、
“ちゃんと言ってから始めるほうが、ずっと素敵”だと思うのですっ✨

お家も権利も、ふたりで育てる、あったかもふもふがいいのです〜。」

「もし…こぱお研究室の活動が“ちょっぴりおもしろかったな”って思ってもらえたら、
もふんのドーナツ代をぽふっと応援してくれたら、うれしいのですっ🐾」

ドーナツ代 500円

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次回予告

『こぱお博士とイチゴ味の冤罪〜白衣とシロップと血痕の午後〜』

お楽しみに!

📝「前回の記事をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ!」

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