「鍵なしバッグは見られても仕方ない?最高裁判例で考える所持品検査」

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新宿駅から少し外れた夜の歩道。

人通りはまばらで、雨は止んでいたが空気は湿り気を含んでいた。


高橋義男(58)は、古びたショルダーバッグを肩にかけて歩いていた。

灰色のウインドブレーカーに、色あせたジーンズ。その姿は目立たないが、バッグの膨らみだけが妙に主張していた。

その様子を50メートル先から視界に捉えたのが、警察官P

20代後半、制服の第一ボタンだけ緩められた男。彼は巡回中だった。信号待ちのタイミングで、義男の歩き方に違和感を覚える。

「少し、よろしいですか?」

Pは自然なトーンで呼び止めた。義男は足を止めたが、表情は警戒そのものだった。

「…なんですか?」

「最近、この辺りで違法薬物の件が報告されてましてね。ちょっとだけ、持ち物の確認をお願いできませんか?」

Pはあくまでも“任意”であることを強調した。声のトーンは柔らかく、言葉も丁寧だった。
だが、義男は首を横に振った。

「薬なんて…持ってない。関係ないです。」

それでもPの視線は、バッグのチャックに注がれていた。鍵はかかっていない。ファスナー部分に軽く触れるだけで、バッグは開きそうだった。
義男はバッグを抱きかかえるように持ち直した。

「じゃあ、ちょっと中だけ一瞥させてもらえますか?確認だけなので」

その言葉の途中で、Pの右手はチャックに触れていた。

カチャ。

音は、風にまぎれるように小さかった。

バッグの口が3cmほど開いた。

内部に折りたたまれたタオル、その横にポケットティッシュ、そして――銀色の袋が、底で控えていた。目視できる範囲には刻印もロゴもない。

Pはそれ以上触れなかった。チャックを戻し、礼を言った。

「ご協力ありがとうございます。万が一の確認だったもので」

義男は何も言わず、背を向けた。その歩幅がわずかに乱れたように見えた。

こぱおの法律研究室

夜遅く、研究室の空気は熱い緊張に包まれていた。机の上には「昭和53年6月20日判決」のコピーが広げられている。

🧪こぱお博士「……施錠の有無、行為の態様、そして緊急性。うむ、やはりこの判例は“チャックの開閉”に関する最高裁の到達点だっ!」

🐾もふん補佐官「でも博士、“鍵がかかってない”ってだけで、中を見てもいいって…なんかちょっと怖くないもふぅ?」

🧪こぱお博士「もふん氏、その感覚、大事やぞ。判例は確かに“承諾なしでも、捜索に至らない一瞥なら適法”と言っとる。
しかし、それは状況次第。強盗犯に対する緊急性、黙秘、拒否の継続…条件が揃った時だけだ」

🐾もふん補佐官「じゃあ、もしわたしがドーナツ入りバッグを抱えて歩いてて…チャックをちょっと開けられたら?」

🧪こぱお博士「それが任意なら、構わぬ。ただし、もふん補佐官が“あきらかに異常な挙動”をしていない限り、開披の必要性は低い。
しかも緊急性がなければ、その一瞥すらグレーじゃ。ワイなら、見せない」

🐾もふん補佐官(小声)「つまり…法的チャックは心にもある、と」

🧪こぱお博士「よきまとめやのぉ。結局、重要なのは“開けたかどうか”ではなく、“開けるに値する状況だったかどうか”やな。
判例は可能性を認めたが、乱用への抑制は忘れてはならん。慎重さが、法の品格を保つのだ」

🐾もふん補佐官「うぅ…ドーナツ、ちゃんと仕舞っておくもふ」

論証

所持品検査自体には法の根拠はないが、職務質問の不随行為として適法であると解する。(警職法2条1項)ただし、所持人の承諾を得て行うのが原則である。

では、承諾のないままこれを行うことが許されるのか。

所持品検査は行政警察活動の一種だが、捜査活動たる司法警察活動との連続性に鑑み、同様の規制を及ぼすべきである。

したがって、捜索に至らない行為であれば、強制に渡らない限り許容され得ると解する。具体的には、検査の必要性、緊急性、これにより害される個人の利益と得られる公共の利益との権衡等を考慮し、具体的状況下で相当と認められる限度において、許容されると解する。

判例(昭和53年6月20日最判)

本件と類似する状況として、昭和53年判決では次のような判断が示されている:

  • バッグが施錠されていない状態で、
  • 所持人が黙秘し、協力を拒否している中で、
  • 捜索に至らない程度の一瞥行為であれば、
  • 必ずしも承諾がなくても違法とは言えない。

結論(私見)

本件は、状況次第では適法にも違法にもなり得る。

上記判例は特殊な状況(所持人は黙秘を続け、協力を拒否、強盗事件の容疑が濃厚で、緊急性が高い)が前提となって、適法と示されましたが、本件ではその様な特段の事情はなく、原則として、所持人の承諾なしにバッグのチャックを開ける行為は違法になるのではないかと考えます。(私見

皆さんはどのようにお考えですか。

こぱお博士の法的アドバイス

「チャックが閉じているからといって、それが“法的に閉じている”とは限らんのだ。
警察官が開けることを許されるのは、“施錠されていないこと”だけでは足りぬ。
その行動が、捜索に至らない程度であるかどうか、状況全体が“相当”といえるかどうか――ここが肝要なのだ。」

🔍 アドバイスの論点

  • 物理的施錠の有無だけでなく、心理的・法的な境界を見極めよ。
  • 判例(昭和53年6月20日最判)は適法性を認めたが、それは例外的な状況においてのみ。
  • 警察官の行為が“任意を装った実質的強制”であるかどうか、慎重な検証が必要。

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🐾もふん補佐官の見解

「わたしは専門家じゃないけど、“ちょっと見せてもらっていいですか?”って言われたとき、断れる空気かどうかってすっごく気になるもふ。
たとえ“任意です”って言われても、制服着た人の前で“じゃ、見せません”って言える人、そんなに多くないと思うもふよ。」

💬現場の空気に対する感覚

  • 「チャックが鍵かかってなかったら開けてもOKってなると、
    じゃあわたしのリュックも、勝手に開けられるかもって思うと…正直ちょっと怖いもふ。」
  • 「しかもその一瞬で“何か変なもの入ってそう”って思われたら、いろんなとこに話が飛ぶやん?」

⚖️法と人のあいだ

「博士は“緊急性と相当性の判断が大事”って言うけど、
その“判断”って結局、“この人怪しいかどうか”の空気で決まることもあるよね。
それって、ちょっと危なっかしいよなぁ…ってわたしは思う。モフぅ」

🍩まとめ(もふん流)

「バッグのチャックも心のチャックも、むやみに開けるもんちゃうと思うもふぅ。
見せたくなる空気があるときだけ、そっと開いて、そこにドーナツが入ってたらちょっと笑って終われる世の中がいいもふ。」

👇「“研究に必要なのは、資料・判例・そしてドーナツ”がもふんの持論です。本日も機嫌よく働いております!」

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